塾の前で通りすがりのお母様が窓に貼ってあるポスターなどを見ておりましたので、声をかけると「ゲームばかりして勉強をしなくて悩んでいる」とのことでした。
これは子供だけの問題ではありません。
私の母も先日、ゲーマーの弟に携帯ゲームで「こんなのがあるよ?」と勧められ、何年かぶりにやってしまったがために、私が帰ってきた時から明け方までドハマりして何時間もずっとゲームをしていました。
私の母は極めたい人なので昔あった【テトリス】や【ドクターマリオ】なども やり続け、設定レベルMAXを通り越して未知の領域まで突入してしまうぐらいの母です。
RPGなどはやらないのですが、そういった頭を使うゲームが大好物のようです。笑
次の日には「手元にあるとやってしまうから削除した」と言っておりました。
今回の話は以前にも書いた「ゲーム障害です」酷い場合は治療レベルです。
保護者様の中にもゲームにハマってしまい、「〇時からのイベントが!!」などとゲームに時間を支配されていませんか?
『親も子供もハマりやすいゲーム、節度を持って使うコツとは?』
お子様の教育は理想通りにはいかないものですね。
なかには、「本意ではなく渋々」「周りの子もやっているから仕方なく…」というものもあると思います。
生徒や保護者様からよく聞くゲームなどはその典型だと思います。
今の時代、みんなが持っているゲーム。
「絶対に買わない」と決めていたのに、「結局、買ってしまった…」という保護者も多いと思います。
そんな保護者様へ、子供たちを魅了するゲームと納得した形でつき合うための方法をお伝えしていきます。
『現代っ子のゲーム保有率がとんでもなく凄いことになっている』
2011年に内閣府が行った「青少年のゲーム機等の利用環境実態調査」によると、ゲーム機器を「何も持っていない」と答えたのは1割弱(9.6%)。
なんらかのゲーム機を持っている青少年は、高校生が82.7%と8割台前半であるものの、小学生が93.9%、中学生が93.3%と、いずれも9割を上回っていることが分かっています。
また、NHKが行った「2013年幼児生活時間調査」によれば、ゲーム機を自分で使うようになる年齢は、5~6歳ごろ。
この年齢で既に4割前後の子が、携帯ゲーム機を自ら扱うようになります。
一方、スマートフォンに関してはもっとデビューが早く、1歳後半で1割、2歳前半以降は2割弱、これが現代の実態です。
書く言う私も2歳の時から家にファミコンがありました。
親に似たのか何でも極めたく、RPGではレベル99にしたり、レースゲームは全てのコースでレコード、中2の時に発売されたポケモンは、まだ流行る何年も前から151匹集めたりとゲーム三昧でした。
ですが、歯科関係の国家資格を取る時期を境にゲームどころではなくなり、それっきりゲームに対しての興味はなくなってしまいました。
『アルコール、たばこ、ギャンブル、薬物のようにゲームには依存性がある』
何かと問題視される「子供vsゲーム」
でも、ほどほどにやる分には、保護者様も理解ができるのではないでしょうか。
取り上げたくなるほどイライラしたり、勉強をやらない原因など問題視したりするのは、節度なくやってしまうから。
物事には依存を起こしやすいものとそうでないものがありますが、ゲームは明らかに前者の依存するもの。
だから、ハマってしまうのです。
今の時代、「ゲーム依存症」に陥る人はたくさんいますが、いったんこのような状態に陥ると、寝食を忘れるほど、ゲームに熱中してしまい、ゲーム以外の生活面に悪影響を及ぼしたり、人間らしい生活を営むことが困難になります。
現在、小学生で本当に多いのが『時間がわからない』ということです。
小学2年生とかで習い始める『時間の問題がわからない』ではなく本当に今過ごしている時間がわからないのです。
時間間隔無さが酷い生徒は1時間の授業を受けに塾へ来て「何時に帰るの?」「何時間?」「何時から何時?」など質問をしても「わからない」と答えます。
30分で1時間経ったと思い込み帰ろうとする生徒もいます。
『〇時から25分後』や『〇時から1時間15分前』などといった問題に対して、例え話で日曜日の18時から『ちびまる子ちゃん』が始まって18時半から『サザエさん』が始まって…
と話しても、首をかしげます。
「え?TV見ないの?」と聞くと「見ない」と答えます。
塾を始めて、初めてそんな話をしたときは衝撃でした!!。
私たちが子供だった時代は何曜日の何時から何のアニメが始まるか完全把握しており、毎週その時間を楽しみにして、たまに野球のナイターでアニメがやっていなかった時のショックは泣くほど大きかったのですが「じゃあ、TVも見ないで何をしてるのか?」聞くと、ほんと現代人ですね…
『YouTubeで見る』なんですよ!!
いつでもどこでもYouTubeです。
曜日や時間を気にしなくても見たいときに見たいものが見れる時代です。
親も、YouTubeを見せておけば いちいち面倒を見なくても、楽しそうにYouTubeを見ているのでそれほど面倒ではありません。
だから、時間がわからないのです。
完全に現代病です。
ここまで行ってしまうと大変です。
私も、ゲーム中心だった学生時代がありますが今の時代に比べたら次元が違いすぎます。
『はじめが肝心! 親が肝に銘じておくこととは?』
ゲームやタブレットと上手くつき合うには、はじめが肝心です。
たしかにそうです。
だから、どこのご家庭でも、ゲーム購入時には、「1日○分」「○○が終わってから」のようなルールを設定していることと思います。
しかし、ここでの「はじめが肝心」はそれ以前のことを指します。
買うのは保護者様です。
そこには「買う」判断と「買わない」判断があります。
「ハマる我が子にガミガミ言うのが嫌なら、はじめから買わなければいい」と決断できればいいのですが、そうもいかず、「やむを得ず買う」というご家庭も多いでしょう。
しかし、購入の動機がどうであれ、ゲームやスマホ、タブレットは依存性が高いというのは変わりません。
購入の段階で、「今後我が子にゲーム依存が起こり、勉強もやらずに成績がどんどん落ちる物を購入するのだ」と保護者様は理解しておく必要があります。
なんとなく買ってしまって、なんとなく使わせていると、あっという間に子供はゲームの魅力にとりつかれていきます。
「非常に依存が起こりやすいものを相手にしている」ということを忘れてはいけません。
「うちの子、ゲームをいつまでもやっていて…」というのは、言ってしまえば、ごく自然な流れなのです。
小学校低学年の子供たちが自ら自制してゲームを止めるのは、実際には非常に難しいことです。
自制心は発達とともに育っていくものですから、子供の年齢が低ければ低いほど、自制しにくくなりがちです。
ですので、子供が小さいうちは、保護者様がリードしてあげる必要があります。
『「今日は特別だよ」をやらないルール設定を』
先ほども書いたように、ゲームを買う際は、ご家庭でルールを作るはずです。
「好きなだけやっていいよ」というご家庭はまずないでしょう。
しかし、いったん作ったルールをきちんと守れているかというと、そうではないのが実態です。
1日30分だったルールがいつのまにか45分、1時間になり、エスカレートすると暇さえあればゲームをしているという状態になっているでしょう。
なぜこのようなことが起こるかというと、保護者様が子供に厳しいようで、まだまだ甘いからです。
「初めに決めたルールは30分。子供が”うん”と言ったのだから、自分でゲームのスイッチを切り、宿題をやり始めないといけない」と。
しかし、依存性の高いゲームを相手に、子供が自らスイッチを切ることがいかに大変かを保護者様は理解せねばなりません。
「自分で消せないのがゲーム」「自制できなくてもおかしくない」というくらいの気持ちでいないと肩透かしにあいます、それがゲームなのです。
寝る間を惜しんでゲームをやり続け、学校や塾の宿題をやらないどころか、学校や塾で寝ている。勉強をやらなかったとしても人生が変わるぐらい重大なことをやっていないと認識しづらい。
大人でさえ酒やタバコ、ギャンブルなど、やめたくても やめられない人も沢山いますが同じレベルです。
成績が上がらないお子様のほとんどはこれらが原因です。
適切なものを与えても、やらないので上がるものも上がらないのです。
では、管理の仕方としてやりやすいのが、与えっぱなしではなくゲーム機自体を親が管理するという方法です。
図書館の本のように、貸出をしてください。
「今日やらなければいけないことが終わったらOK!でもゲームの時間は○時までだからそれまでに終わっていなければ今日はダメ!」
「夕飯までOK。そこで返却」
「2ゲームしたら終わり」
のようにルールを決め、できなければ、「翌日以降決められた期間、貸し出しをしない」などのように。
大事なのは、保護者様がそのルールをきちんと守ることです。
もし3ゲームしてしまったのに、翌日
「今回だけは特別だよ」
「次回からはちゃんと守りなさいよ」
と見逃してしまうと、子供はその特別ルールを毎回適用しようとしてしまいます。
ルールを設定する際のコツは、厳しすぎるルールにしないこと。
毎日守れるルールにしないと設定した意味がないからです。
子供が、「まだ途中だから」「今、いいところなんだよ」と言ってきたときにも、「例外」を作らずに対応できるルールを設定することが大事になります。
私も子供のころ、これらのルールで1年ぐらいゲームを取り上げられたことがあります。
どこに隠していたのか、戻ってきたときには真っ白だったファミコンが日に焼けて真っ黄色になってました笑
『ゲームは自制心の育みに役立つ!?』
≪ハマりやすい≫というゲームやタブレットの性質を逆手にとって上手く活用すれば、子供の自制心の育成につながると考えています。
『ゲームはやる。YouTubeも見る。でも、その日やらなければいけないことが残っているからやめることもできる。』この状態は非常に高い自制心がある証拠です。
『その日やらなければいけないことが終わるまで寝てはいけない。』ぐらいのルールがあれば、誘惑レベルが高いゲームに日々触れつつ、オンオフを繰り返すのは、非常にいい自制の練習になります。
このルールが甘いと『やらなければいけないことは分かっているが、やらなくても欲は満たせる』のでやらなければいけないことをやらずに、ゲームをやり続ける原因となります。
今の子供たちは、私たちの幼少時よりも、ずっと忙しい日々を送っていますから、際限なく好きなことばかりはやっていられません。
途中で切り替えなくてはいけない場面も多々あります。
こんなとき自制心が高ければ、やりたいこともやらなければいけないことも要領よくこなし、日々を過ごすことができます。
強い自制心は、現代っ子の大きなアドバンテージなのです。
今の時代、「頭がいい子」は、”認知能力/IQ”以上に”自制心”が高いことが分かっています。
魅力あるものがたくさんある現代だからこそ、自制心の高さが求められるのです。
ゲーム、スマホ、ネットはあって当然という今の時代。
無いに越したことはありませんが、ゼロにすることを考えるよりも、節度を持ってつき合うことが、将来の成功につながります。
そう考えると、ハマりやすいゲームは、”自制心を鍛えれるトレーニングマシン”のようなもの。
親がリードしつつ、子供に節度を教える場として、活用してみるのも手かもしれません。
今はまだ、スマホやゲーム機を子供に買い与えていないご家庭がありましたら今後、子供との喧嘩の原因や成績が落ちる原因になる物をわざわざ買い与える必要はないと私は思っております。
買い与えてもらっていない家庭のお子様は、自分なりに工夫して遊びます。
今までに私が実際に見たことのあるお子様では、段ボールを使ってゲーム機本体やリモコンなどを作成しソフトを抜き差しできるようにしたり何枚もの画面を作りオリジナルのゲームを頭の中でやっているお子様。
ゲームの攻略本だけを買ってもらい、攻略本を熟読して『ゲームをやりたい欲』を解消しているうちに実際にゲームを持っている友達よりゲームに詳しくなりゲームを持っていないのにゲーム名人として有名になるお子様。
このようなお子様は、学習面においても技術家庭や美術が得意になったり読解能力が高まったり、空間認識能力が高まったりといい影響が出ています。
『周りの子がゲームを持っているから、ゲームを持っていないうちの子はかわいそう』ではありません。
保護者様の与え方次第でお子様は今後、どのようにも転びます。
子供がいつまで経ってもゲームをやめないで悩む保護者様も、やることもせず自らゲームがやめられなく親に怒られてイライラしているお子様も、そうなったのは初めに買い与えた保護者様が原因となっております。
そちらの方がよっぽどかわいそうだと感じます。
既にゲームを買い与えてしまって困っている保護者様は今一度、お子様も保護者様も納得できるルールに見直していただきたいと思います。
ご家庭の中だけでは解決しない場合は面談等で個別の学習計画見直しなど随時対応させていただいておりますので、お気軽にご相談くださいませ。